自分の身体から発するにおいや、職場の同僚、家族から発する体臭に、悩んでいるという人は、多いのではないでしょうか。においというものは、目に見えないものです。しかし、それが悪臭だった場合には、近くの人に確実に、精神的に、時には身体的にまで、多かれ少なかれダメージを与えてしまうものです。また、母親が子どもの世話をしているとき、体調の異変に気づくのも、子どもから発する体臭がきっかけであることが多いと言われています。
体臭と、ひとことに言っても、その発する部位は、頭、口、わきの下、足など、全身の各所にあります。そして、においが発生する原因や、においの強さにも、様々なものがあります。
まず、頭ですが、頭皮の皮脂の酸化が進んだり、汗をかいて高温多湿となり、細菌が繁殖することで、においが出ることがあります。髪の毛も、その構造上、においを吸着させやすくなっています。たばこを吸う人と同じ部屋にいたり、飲食店を出た後などに、髪の毛ににおいが残っているということは、よくあることだと思います。
次に、口のにおいですが、これは、口臭と呼ばれるもので、主に、食べたものによるにおいと、病気からくるにおいの2種類があります。ここで言う病気の中には、腎臓、肝臓の病気、虫歯、歯肉炎なども含まれます。
わきの下のにおいというと、「ワキガ」が浮かぶと思います。ワキガは、単純に、汗くさいにおいではなく、わきの下などにある、アポクリン腺という汗腺から出る汗の成分が、空気に触れて変質し、細菌によって分解されることによって、においが発するものです。人間には、もうひとつ、エクリン腺という汗腺もあります。こちらは全身にあり、ここから出てくる汗には、においはありません。
そして、足です。特に、夏場、靴を脱いだ後は、自分の足ながら、何とも言いがたいにおいに、思わず顔をしかめてしまうという経験が、誰にでもあるのではないでしょうか。足には、上に述べたエクリン腺がたくさんあります。そのため、汗をよくかくようになっています。汗自体には、それほどにおいがありません。しかし、靴の中という、高温多湿の環境の中で繁殖した雑菌が、汗や皮脂を分解して、においが発生することにつながります。
また、自分で気にしている人は少ないと思いますが、耳にもにおいがあります。特に、乳幼児で、耳のにおいや耳垂れがあり、それが中耳炎などの病気のサインであるちうこともあります。
このように、体臭には、さまざまな原因や意味があることを認識できれば、自分に合った予防法や対策方法も、見えてくるのではないでしょうか。
日本人は、体臭が少ないといわれています。それは、昔から、米、野菜、豆など、低脂肪で高繊維な植物性食品を中心とした食生活を送ってきたからであると考えられます。しかし、日本でも、急激な食の欧米化に伴い、自分の体臭に悩む人が増加してきているようです。
体臭の問題は、日本だけでなく、世界中でも、あらゆる珍事件を引き起こしているようです。中国では、タクシーのにおいが問題となり、悪臭のするタクシーは、数日間、営業を停止しなくてはならなくなったそうです。北京では、タクシー運転手は、車内で飲食、喫煙、睡眠することが習慣化しており、その結果、タクシー内は、ニンニク臭や運転手の体臭であふれかえっているそうです。サービス業であるタクシー運転手が、自分の身なりに気を使うのは当然のことです。そのため、このような規制ができたのでしょう。
また、ドイツでは、ユースホステルに宿泊していたドイツ人の女性グループが、大量のデオドラントスプレーを使い、火災報知器が反応して、消防隊が駆けつけるという騒ぎが、実際にあったそうです。欧米人は、体臭が強いと言われています。そのため、香水やデオドラントスプレーを使う人が多いのですが、それにしても、火災報知器に検知されるほどのガスを発生させるなんて、よほど大量にスプレーしてしまったのでしょう。
ある大学の医学部では、ニンニクに、コレステロール値を下げる効果があるかどうかを確かめる実験が行なわれました。100名以上の被験者に対して、3年間、ニンニクを摂取する生活を続けてもらったところ、高いコレステロール値を下げる効果は、明らかにはならなかったそうです。その代わり、副作用もなかったものの、息がニンニク臭くなったり、体臭が強くなったという結果が報告されました。体臭にまつわるニュースは、なかなか奥が深そうです。
たとえば、朝、職場で「おはようございます」と、出勤してきた同僚から、もしもプーンとお酒臭い体臭をただよわせてきたりしたら、少なからず気分が悪くなるのではないかと思います。付き合いの飲み会があったのか、はたまた、ストレス発散のやけ酒だったのかは不明ですが、お酒をたくさん飲んだ後というのは、その体臭によって、周囲にはすぐに気付かれてしまうものです。
お酒を飲むと、体臭がきつくなるというのは、本当のことなのでしょうか?事実、お酒のおつまみとして食べたものが、焼肉であったり、にんにく料理であった場合には、そのにおいも強烈なものになると思います。しかし、それだけではなく、お酒のアルコール自体が、実はとても強いにおい成分なのです。アルコールは、代謝されると、アセトアルデヒドや酢酸といった、さらに強烈なニオイ物質に変化します。これらの物質は、ほとんどは、尿から排泄されます。しかし、一部は、汗として排出されたり、呼気からも排出されるため、お酒特有の二日酔いの体臭をつくることにつながるのです。
また、お酒を飲むと、からだがぽかぽかしてくると思います。これは、アルコールには、血管を広げたり、体温を高めたり、汗腺の活動を活発にする作用があるためです。また、それによって、発汗量も急激に増加します。アルコールは、それだけでもにおいが強いものなのに、加えて、発汗を招き、代謝されてさらに強いにおい物質となり、それが汗からも放出されてと、まるで「においの素」を飲んでいるようなものであるとも言えるのです。
しかし、適量のお酒であれば、からだにも良いと言われています。少量のアルコール摂取であれば、からだの活性酸素を減らす働きも期待できるのです。どんなものでも、「ほどほどに」がいいということです。
妊娠をすると、体臭がきつくなることがあるという話を、聞いたことはありませんか?また、実際に、体臭を感じて、悩んでいる妊婦さんもいるのではないかと思います。それでは、妊娠することと体臭が発生することには、どのような関係があるのでしょうか。妊娠中に、体臭が起きる原因として、次のようなことが挙げられます。
●妊娠にともなう便秘の症状がある
●妊娠にともない、新陳代謝が活発になるため、汗など分泌物の量が増える
●もともと肝機能障害、腎機能障害、糖尿病がある
妊娠すると、ホルモンバランスが、それまでとは変化して、便秘を起こしやすくなります。また、つわりによって、食事量が減ってしまうことも、便秘を起こす原因のひとつです。また、大きくなる子宮のために、腸が圧迫されて、動きが鈍くなったり、便意を感じにくくなったりすることがあります。
妊婦は、体温が高いことからも、汗をかきやすいことは想像できると思います。ちゃんをお腹の中で育てるために、血液量も増加して、分泌物の量も増えるのです。また、人によっては、毛深くなることもありますが、これも、ホルモンバランスの変化の影響であると考えられます。
こういった理由から、妊娠すると体臭が強くなると言われています。しかし、実際には、妊婦本人が気にするほど、体臭は強いわけではないことが多いのです。おそらく、妊娠すると、においに敏感になる人が多いため、自分の体臭についても、必要以上に気になってしまうのではないかと考えられます。
しかし、においに敏感な時期、特に、つわりの時期には、不快なにおいは避けるにこしたことはありません。ですから、からだを清潔に保つことを心がけながら、快適なマタニティライフを送ってほしいと思います。